Tropaeolum majus 品種別一覧

1995年からトロパエオルム(T.majus)栽培を初めて,種々の品種を扱ってきました.ここは今まで栽培してきた品種の総まとめのページです.T. majusには膨大な品種があり,中にはT. minusと書かれている品種もあるのですが,いわゆる一般的な「ナスタチウム」と呼ばれるものをここに集めました.

ナスタチウムで品種不明のものを特定するのは難しいです.見当が付く場合もありますが,同じ物じゃないの?と思っても種苗メーカーにより品種名が違う事もあります.また,同一品種でも自家採種した場合は交雑(ある品種と別の品種が受粉すること.そして結果的に「あいのこ」が出来る)の可能性があります.特に狭いベランダで数多くの品種を栽培している我が家のような場合には,その可能性が大です.という事で,純粋な品種を保つのは至難の業です.業者さんならともかく,個人の趣味で栽培する分にはあまり「品種」「品種」と肩に力を入れすぎずに,気楽に楽しみたいと思うようになりました.

毎年アレコレ新品種が出て来るので年代別に分類する事にしました.2002年以前に出回っていた品種とそれ以降の年に出た品種に分けています.

【2001年度以前に出回っていた&栽培した品種】

●ストロベリー系(T&M)とサカタのピーチメルバ
発芽したての頃から葉の回り,および茎が赤っぽい色をしています.葉は濃く深い緑色.花色は淡いクリーム色,中央部に赤い斑があるのが特徴です.距あり.
「ストロベリー&クリーム」および「ストロベリー・アイス」はT&Mの品種名です.この2種の違いは,「ストロベリー&クリーム」が半八重(花びら5枚以上),「ストロベリー・アイス」は一重の点でしょう.
尚,T&M以外の種苗メーカーで,この品種に酷似したものがあります.98年サカタのタネから発売された「ピーチメルバ」がそうです.これは種袋の写真によるとどうやら花は一重のようなので,T&Mの「ストロベリー・アイス」にそっくりさん,という事になります.

ストロベリー&クリーム(T&M)

ストロベリー・アイス(T&M)

サカタのピーチメルバ(98/04/26写真追加)


●ホワリーバード系(09/01/26追加,ホワリーバード・チェリーローズ,ホワリーバード・タンジェリンを09/01/26追加))
ホワリーバード系の葉および茎はは明るい緑色.花色はクリーム色,オレンジ色,赤色など.花びらは一重・八重どちらもある.距が無いのが特徴.

ホワリーバード・クリーム(T&M社・1997年のニューフェース) 

ホワリーバード・タンジェリンWhirybird Tangerine 
実に鮮やかなオレンジ色.品種名はタンジェリン・オレンジの花色から由来しているのかもしれません.6号深鉢.秋まき.花は一重~半八重,距無し.08/03/25撮影


ホワリーバード・ゴールド

ホワリーバード・ミックス


ホワリーバード・タンジェリンとホワリーバード・マホガニー寄せ植え
2002年度,ホワリーバード・タンジェリンとホワリーバード・マホガニー(いずれもChiltern Seeds)を大鉢に寄せ植えにしてみました.今まで大きくても6号鉢どまりで栽培していたのですが,大鉢というのは,株も大きく元気に育って良いものです.葉っぱも美味しそう.(^o^) タンジェリンはオレンジ色,マホガニーは赤色で,いずれも一重の花です.

タンジェリンとマホガニー寄植え
タンジェリン
マホガニー

Whirybird cherry Rose 2008年03月撮影.種は秋まき.6号深鉢に植えてあり,茎はグングン伸びるタイプ.

●アラスカ系
96年まで栽培していたアラスカは,必ず斑入り葉でした.ところが,97年から斑無し葉のものが登場しています.「アラスカは斑入り」と思っていたのに,認識を新たにしないといけないようです.花色は黄,オレンジ,赤と様々で,距あり.

アラスカ・ミックス

●チップトップ系 (アプリコットの写真を追加;98/04/26)
チップトップ系は葉,茎ともに黄緑かかった緑色.花色は,黄,オレンジ,赤と様々です.おおむね一重の花で,距あり.

チップ・トップ・ゴールド(T&M)

チップ・トップ・マホガニー(T&M)

チップ・トップ・アプリコット(右写真は98/4開花分)

チップ・トップ・スカーレット(T&M)


●サーモン・ベビー
葉は濃い緑色,花はその名の通りサーモン色・・・・と言いたいところですが,サーモン色も個体によってバラツキがあるようです.


●ピンクナスタNo.5
園芸店で「ピンクナスタNo.5」という名で出回っているもの.名札にはピンク色の写真が載っているのですが,実際の花色はチェリーローズ~赤っぽい色が多いようです.


●エンプレス・オブ・インディア (97/06/20追加)
茎,葉の周囲共に赤みをおびています.花は一重,鮮やかな朱色.葉は濃い緑色.距あり.株姿はコンパクト.種に赤い筋のような模様が入っています.

●ジュエル系 (98/04/26写真を追加,アタリヤ・ジュエル09/01/26追加)
種々のメーカーから「ジュエル混合」という名前で販売されています.花色は様々で距あり.

アタリヤ・ジュエル アタリヤ農園の種から.6号深鉢で種は秋まき.茎はグングン伸びるタイプ.花は一重で距有り.

●ジュエル・オブ・アフリカ (97/06/20追加)
T&M社のオリジナル品種.アラスカとクライミング種の交配種で,この2品種の性質を併せ持っています.アラスカの血筋を引いて,斑入り葉です.花は一重,花色は,黄色・オレンジ・赤,黄色に赤ポチ等です.距あり.

●チェリー・ローズ・ジュエル (98/04/26追加)
月子さんに頂いた種を98年2月まきしたものです.花の雰囲気はピンク・ナスタNo.5と良く似ていますが,やや赤っぽい感じです.葉も茎も普通の緑色で,花色は赤(チェリーローズ)色.花は八重で距があります.

●ビジョー・ナイネ (97/06/20追加)
フランス産のナスタで香りがとても良い品種です.様々な花色があり,距あり.

●ムーンライト (98/04/26写真を追加)
花色がお月様みたいなので,こんな名前が付いたのでしょうか.北海道の樹子さんから97年秋に頂きました.距あり.茎,葉ともに普通の緑色で,花色は淡いクリーム色です.北海道で栽培されていた時,夏には草丈90センチにも育っていたそうです.花はホワリーバード・クリームを一重にしたような感じです.左の写真は97年12月に開花した時の物です.右の写真は98年2月蒔き株が4月に開花したものです.

●ヘルマン・グラショフ (97/06/29追加)
花びらがフルダブルの珍しいナスタです.97年に入手しました.種が出来ないタイプで,距なし.挿し木で増やせます.

●スピット・ファイア (98/04/26追加)
月子さんに頂いた種を97年秋まきしました.葉は普通の緑色で,茎と葉の周りが赤みがかっています.花色は深紅色を想像していたのですが,開花すると写真のようにオレンジ色っぽい色でした.一重で距があります.

●トム・サム系 (98/06/03追加,09/01/26追加)
月子さんから頂いたトム・サム・ダーク・リーヴド・ミックスを98年2月に,また北條さんから頂いたトム・サム・ミックス(T&M)とを98年3月にそれぞれ種まきしました.いずれも葉,茎ともに普通の緑色です.花色は様々,一重で距あり.株はコンパクトにまとまります.

トム・サム・ダーク・リーヴド・ミックス
1つ変わり種の株がありました.同じ株なのに咲く花の色が微妙に違うのです.黄色っぽいのと赤っぽい花が同時に咲いています.(写真右)

トム・サム・ミックス

Tom Thumb Mix (T&M) 08/03/09撮影.秋に種をまいた株.6号鉢に植えていて株はコンパクトにまとまります.

●ベスヴィアス (98/04/26追加)
月子さんから頂いた種を98年2月まきしました.ベスヴィアス火山に由来する名前なのでしょうか,鮮やかなオレンジ色の花が咲きました.葉は深い緑色,葉の縁と茎は赤みがかかっています.距あり.

●ゴールデン・キング(98/06/03追加)
月子さんから頂いた種を98年3月まきしました.名前の通り,鮮やかな「ゴールデン」です.葉と茎は普通の緑色,距なし.

●キング・セオドア
ゴールデン・キングと同様,月子さんから頂いた種を98年3月まきしたものです.葉はダークグリーン,縁は赤く,茎も赤っぽく,花は朱色に近い赤色・・・そう,今まで経験した中の「エンプレス・オブ・インディア」と非常に良く似た特徴を備えています.株もコンパクトにまとまります.

【2002年度に新しく出回った品種・初めて栽培した品種】

ブラック・ジャック
ブラック・ジャック(種苗会社はPlants of Distinction)は葉の色が暗い緑色で,発芽時には殊にその特異さが目立っていました.花が咲いてみると鮮やかな一重の赤花で,葉といい花といい,「エンプレス・オブ・インディア」を思わせるものがあります.カタログにも「Empress of Indio」が唯一近い品種だと思います」と書かれています.

●トール・ミックス(Aviflora)
トール・ミックス(頂き物;Aviflora社)は2株を寄せ植えにしています.本来ならもっとグングン茎が伸びていくのでしょうが,ずっと日陰の環境に置かれたままなので伸び悩んでいるように見えます.ミックス種で,今回出現した花色はオレンジと赤,いずれも一重の花でした.右手に写っている管は自作給水装置の一部です.

●クロテッド・クリーム
クロテッド・クリーム(Plants of Distinction)はムーンライトのようなクリーム色の花で,半八重,花弁が縮れた感じの花です.この花が咲いた時には,まるで「T&Mのホワリーバード・クリームみたい」と思いました.

●モザイク・オレンジ
モザイク・オレンジ(Plants of Distinction)は斑入り葉が特徴です.蛍光オレンジの一重の花が鮮やかです.下の写真で一番右は,後ろにブラック・ジャックが写っています.葉の色を比較してみて下さい.ブラック・ジャックの葉色がいかに暗い緑であるか,お分かり頂けるでしょう.

●モザイク・フレーム
モザイク・フレーム(Plants of Distinction)も斑入り葉です.花色がモザイク・オレンジより赤っぽい色です.

●ストロベリー&クリーム(Plants of Distinction)
ストロベリー&クリーム(Plants of Distinction)は,同名の品種がT&Mでも販売されています.T&Mの方は半八重ですが,こちらは一重の花が優勢のようです.距有りで,葉色は黄緑系です.

●シェリー・トリフル
シェリー・トリフル(Mr. Fothergill’s)は上記ストロベリー&クリーム(Plants of Distinction)とよく似た花を咲かせました.一重で距があり,花色はストロベリー&クリームよりやや濃い黄色です.葉の色も濃く,茎は赤みがかかっています.

●チェリー・クランブル
チェリー・クランブル(Plants of Distinction)は,半八重のピンクがかった赤い(チェリー色?)花です.昔見た「ピンク・ナスタNo.5」に雰囲気が似ています.葉は黄緑系です.

●マホガニー・ジュエル
マホガニー・ジュエルは,T&M社2002年度・新発売の種でした.半八重で濃い赤色の花ですが,写真ではスリップスの被害が酷く,あちこち色が抜けています.

●中国産・ナスタチウム
頂き物の中で中国産のナスタチウム種(種袋のページで紹介しているもの)があり,蒔いてみたところ,一重でオレンジの鮮やかな花が咲きました.

【2003年度以降栽培した品種】
●ミルクメイド
“Milkmaid”は 2003年度のT&Mの新品種です.白に近い淡いクリーム色の花色が特徴です.2003年2月に種まきをして,4月23日に初開花しました.花色はカタログ通り明るく淡いクリーム色でしたが,驚いたのはガクや距までもクリーム色だった事です.葉も茎も黄緑色系で,花は一重です.

08/03/06撮影

●インディアン・チーフ
Chiltern Seedsから出た品種です.この”Indian Chief”も2003年2月に種まきし,5月になって開花しました.目の覚めるような鮮やかな赤の花です.一重で距があり,葉は濃い緑色でフチが赤っぽく,茎も赤みがかっています.

【2007年度以降栽培した品種】
●セント・クレメンツ(St.Clements)(09/01/31追加)
T&M2007年度に登場した新品種.花は一重で淡いクリーム色,距有り.葉は普通のグリーン.

07/05/05撮影(蓼科で地植え)
07/05/05撮影(蓼科で地植え)

●T&M プリンセス・オブ・インディア(Princess of India)
高さ20~25cmでコンパクトにまとまるタイプ.”Empress of India”の中から草丈の短いものをセレクトした品種.Empress(女王様)ではなくPrinces(王女様)の名はそれ故なのかもしれません.エンプレス・オブ・インディア同様,葉色は暗い緑色で花色は深紅です.

蓼科で地植え 2007/06/14撮影

【2008年度以降栽培した品種】
●デイ・グロウ・ミックス(Day Grow Mix)(09/01/26追加)
ヒロりん♪さんから頂いた種.秋まきにして翌春開花.6号深鉢に植えています.茎はグングン伸びます.花は一重で距有り.

●レディ・バード(Lady bird)
こんもり茂るタイプのナスタチウムで花色は黄色系.鮮やかな黄色の花弁に赤ポチが入ります.

レディバード 2009/01/31撮影
レディバード 2009/01/31撮影
レディバード 2009/01/31撮影

【2009年度以降栽培した品種】
●T&M コブラ(Cobra)
2021年にはT&Mでもう取り扱いなし.朱赤の鮮やかな花色で葉は濃くて深い緑色をしています.

コブラ 2009/04/12撮影
コブラ 2009/04/13撮影

【2012年度以降栽培した品種】
●T&M オレンジ・トロイカ(Orange Troika)
カタログによると高さは30cmほど,茎がぐんぐん伸びて株張りは150cmにもなるようです.斑入り葉で鮮やかな赤っぽいオレンジ色の花が咲きます.

2012/05/22撮影

【2015年度以降に栽培した品種】
●T&M フェニックス(Phoenix)
2021年現在まだ取り扱いのある品種で,2014年11月新発売と同時にT&Mに種を注文した品種です.カタログの中でも花弁が離れているのが目を惹きました.
高さ30cm株張り35cm,花色は赤・オレンジ・黄色,花弁が1枚ずつ離れており葉の縁が打つのが特徴です.2021年日本国内でも種が出回っており苗が販売されています.

フェニックス 2015/11/06撮影
フェニックス 2015/12/22撮影
京都植物園にて 2018/03/07撮影
フェニックス 2021/05/26撮影

【2016年度に栽培した品種】
●パープル・エンペラー(Purple Emperor)とカリビアン・ストーム(Caribbean Storm)
花友さん由来の品種.今までにないニュアンス・カラーで渋い赤系の花色です.

Purple Emperor;2016/06/13撮影
Purple Emperor;2016/06/13撮影
パープル・エンペラー 2016/08/05撮影
パープル・エンペラー 2016/08/05撮影
パープル・エンペラー 2016/08/05撮影
カリビアン・ストーム 2016/08/05撮影
カリビアン・ストーム 2016/08/05撮影

【2017年度に栽培した品種】
●T&M ジャスト・ピーチィ(Just peachybird Rose)
高さ20cmほど株張り35cmほどのコンパクトなタイプでアプリコット色の花が咲きます.

左がJust Peachy;2017/02/11撮影
Just Peachy;2017/02/08撮影

●T&M トロイカ・スポッティ・ドッティ(Troika Spotty Dotty)
高さ30cm株張り100cm.鮮やかな黄色の花色に赤ポチが入る品種です.花の感じはTropaeolum minusによく似ています.

Troika Spotty Dotty 2017/07/18撮影
右の花は比較に置いたminus 2017/07/20撮影

【2021年度に栽培した品種】
●タキイ レディバード・ローズ(Ladybird Rose)
これは種まきしたのではなく出回っていた苗を購入したものです.原村の実践農業大学校の鉢花温室であまり見かけないタイプのニュアンス・カラーのナスタを発見,しかも葉の雰囲気がフェニックスにそっくりだったので正体を知りたいと思いスタッフさんに品種名を尋ねました.その結果,タキイの「レディバードローズ」と判明しました.ただ,種袋では葉の形は丸っこいのですが,この苗は縁が波打っていてまるでフェニックスです.種袋によると生産国はインド.生産地でもしかして交雑した?なんて考えてしまいます.謎の多いレディバードローズに注目です.

原村鉢花温室にて 2021/05/19
原村鉢花温室にて 2021/05/19
2021/05/19
2021/05/26